本藍染
星月菩提樹
特許

身体・環境にも優しい、天然灰汁発酵建て

日本を代表する植物染めの藍染め、鮮やかで優しい青(ジャパンブルー)は色合いが深く、また使うほど味が出るため衣服を主に様々なシーンで愛されています。現在、世に出ている藍染品は、短時間でコストを削減出来る化学染料を使用した化学建てのものが大半を占めていますが、本藍染工房 天童では化学染料を一切使用せず、自然原料だけを発酵させて染める「本藍染」に拘った製法に取り組んでいます。「藍」は元々薬として日本に伝わり、解毒や解熱、腸内抗菌やあせもに効果があるとされ、藍染された衣服は防虫・殺菌効果があり、江戸時代には庶民にまで普及し長く愛され続けてきました。

藍染の染液を作ることを「藍を建てる」と言います。天然灰汁発酵建ての工程は、まず藍染の原料となる蓼藍(タデアイ)の葉を専門の職人さんが約1年の手間をかけて栽培~刈り取り、乾燥、発酵させた「すくも」を使用します。

その「すくも」と、工房で作った木の灰を熱湯に入れた上澄み液「灰汁(あく)」、小麦の外皮「ふすま」、石灰、日本酒などを合わせたものを藍ガメに入れて発酵させます。「藍の華」と呼ばれている(液面に浮いている泡)の状態を見ながら、10日ほどで完成します。

こうして作られた藍染液は、その日のコンディションを見極め、染め物の種類・回数などにより休ませてあげることも大切です。単なる道具ではなく、息づく藍染液への思いやりから得られる優しく美しいジャパンブルーは我々の心を惹きつけるのです。

 

 

生活介護の一環として始めた藍染工房

   個性溢れる作品が生まれています

市街から車で15分ほど、田畑に囲まれ心地よい四季の風が感じられる閑静な環境に本藍染工房「天童」はあり、個性溢れる作品が生まれています。所属アーティストは生活介護 虹いろで、重度の障がいを持った人も含む利用者全員が本藍染に取り組んでいます。重度障がいを持った人たちにも、藍の染色作業で収入を得られ自立することを目的とし、また「障がいを持った人間の尊厳、尊重を社会に認められる活動」そして「世界の平和に貢献したい」という主旨の基に活動をスタートさせました。化学染料を一切使用しない自然原料だけの本藍染は管理が難しく量産には向いていません。しかし、実際に染物を使用して頂く事を考えると、身につけるのにこれほど身体にも環境にも優しいものはないだろうと思います。生きている藍を使う作り手順には、古来より伝わる代表的な技法で「人」と「自然」の共同作業を日々勉強させられています。障がいのレベルにより可能な技法はアーティストにより異なりますが、染色作業の工夫や工房スタッフのサポートで、生活介護の全員が一丸となり制作に取り組んでいます。

 

星月菩提樹

お釈迦様が、菩提樹の下で悟りを開かれたといわれ、菩提樹は仏教だけでなくヒンドゥー教でも聖木とされています。聖木である星月菩提樹の種には丸いくぼみ(月)と複数ある斑点(星)が特徴で「仏界」の宇宙を表しています。

 

特許

平成31年4月26日 特許証第6516338号

藍染のスポット的な濃淡コントラストを強調した星月菩提樹の実の藍染方法と、その藍染した星月菩提樹の実を用いた数珠玉

 

星月菩提樹数珠玉

無量の福、最勝の益を得るとされています。浄化・平静・調和・寛容・高い意思に導く力があるとされています。悟りの木と言われ、仏教の三大聖樹。実の表面にある大きい1個の丸い窪みは「月」、複数の黒い点は夜空の「星」を表し、仏界の「宇宙」を表していると伝えられています。大宇宙の縮図であるかのごとく美しいことから名付けられました。